金曜島の神様(3)
今回も微笑んでくれた。
昨日3年ぶりに色白に変わって弘子が帰ってきてくれた。
嬉しいものである。
長旅でお疲れのものと思うのだが、何をしたいか問うと魚を“釣りたい”と言う。
早速朝から竿を出した。
オニカマス、アジ、QUEEN FISH を釣り、身のこなしが3年前の弘子に戻っていた。
1時間ほどの釣りを楽しんだ後、桟橋に戻り魚を捌いていると15kgぐらいのサイズでのクエが捨てる内臓を目当てに来ているのが見える。
餌付けをするように内臓を捨てると次々に食べる。
15kgのクエとなると大型の魚の頭も丸のみで食べる。
それもずっと食べ続ける。
豪快に食べるのを見ているのも面白い。
皆でその様子を一時見ていたが、弘子が“この魚を食べたい”と言い出した。
“では釣るか!”と大物釣り用の仕掛けを用意し餌をつけ水面下20cmほどの深さに下した。
クエは用心深い魚である。ラインを見せるとまず食ってこない。
だから水面下20cmの深さで待つのが良い。
何度も餌に鼻を近づけ離れる。
これを繰り返しなかなか食ってこない。
それを見て“用心深いですね”と弘子が言ったが、私は食ってくると思っていた。
餌の周りに小魚が集まり、餌をつつきだした。
クエも餌を横取りされるのではと気が気ではなくなった。
パクっ!
大きい餌を丸のみし桟橋の下に引き込んだ。
15㎏ともなると引きが強い。大きいタモ網を出し掬い上げた。
丸々と太い立派なクエが釣れた。
弘子も法美も大きさに驚いている。
何枚も写真を撮り、そして鱗を剥ぎだした。
直後、
パチーンっ!
と良い音がした。
クエの尾で法美がビンタされたのである。
振り向くと右頬にクエの鱗がべっとりと付いている。
東京のお姉さんは弘子と2人で頬の鱗を取り除きながら笑い転げている。
法美もたくましくなったものである。
クエは美味しい!真空パックにして御主人への良い土産ができたと弘子が喜んだ。
3年前の多忙の時は本当に一生懸命働いてくれた。
そして今回の里帰りに金曜島の神様が微笑んでくれたのだ。
高見
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