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2018年3月

2018年3月30日 (金)

しりがえ


321日の便で満ちゃんが来てくれた。

45年前私が天草を離れる時、バスの後を追い見送ってくれたのを思い出す。

あれから45年である。

お互い髪も薄くなり、シワも増えた。

そろそろ定年を迎える年齢である。

私は日本の社会事情には全く無知であるが、満ちゃんも大分休暇が取れる様子である。

私の2年越しの誘いに友人の長野さんと一緒に一週間の島生活を楽しんでくれた。



今金曜島には東京のお姉さんこと宮田法美が居る。

彼女の来客へのホスピタリティーには感心する。

満ちゃんと長野さんにヤシの実を冷やし上部に穴をあけストローを刺しその横にフレンチパニーを飾った。

純粋のココナッツウォーターである。

お二人さんが一口飲んで顔を上げ 



“おぉ~うまかねぇ~”



天草の男が三人揃うと天草弁になる。

飲み終えたヤシの実を割り内部の白色の部分をスプーンですくい取り

ワサビ醤油で食べるとイカの刺身の味がする。

長野さんが美味しそうに食べて、味を舌に憶えさせる様に何度も口に運び

まるでワインの試飲をするように“ウ~ン~”と頷いておられた。

島には店がない分他では食べれない食材を自分達で調達する。

手はかかるが違いの分かる方には喜んでもらえる。


例年だと3月中旬には雨季も終わりを迎え気候も落ち着くのだが

今年は運悪くサイクロンがカーペンテリア湾に発生してケープヨーク半島に近づいてきた。


“天に貸し借りなし”


これはどうしようもない。



せっかくの満ちゃんの金曜島一週間も海に出れない日があった。

島生活では常にやらなければならぬ事が山ほど有る。

男二人の力を借り船底掃除を行うことにした。


鬼木ゆかがトレーラーを上手に操り船をあげてきた。

‘ゆか’のトレーラーの運転技術を見て長野さんが

ワーホリを終え日本に帰ったらトレーラーの運転手になる様勧めている。

私も大賛成である!

これで‘ゆか’の進路は決まった。一安心である。 



船底掃除を行いながら天草の男三人、天草言葉が続々と出る。

私達は “オイが” “ワイが”と子どもの頃の話をしながら船底の掃除を続けた。

ふと満ちゃんが“しりがえ”という言葉を発した。

私には50年振りに聞く言葉だった。

私も年に一度は帰国しているのだが“しりがえ”と言って今時分かる人は居るのだろうか?

私達の子どもの頃は家に鶏を飼い、卵を取り、そして定期的に鶏小屋を掃除し

新しく落ち葉や籾殻を入れ、取り出した物を畑の肥料に使った。

この鶏小屋の掃除の事を“しりがえ”と呼んだ。

 

一週間はあっという間に過ぎ27日が来た。

島を離れる日も大雨となった。

雨の止んだ合間を見て船を出した。

10キロのクエを釣るまでは金曜島通いを続けないと!”と言いながら

涙もろい満ちゃんが目を潤ませる間もなく慌ただしく見送った。

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*地引き網でキスを捕る満ちゃん*


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*帰り際に全員で記念撮影*




高見

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2018年3月 1日 (木)

金曜島の神様(3)

今回も微笑んでくれた。

 

昨日3年ぶりに色白に変わって弘子が帰ってきてくれた。
嬉しいものである。
長旅でお疲れのものと思うのだが、何をしたいか問うと魚を“釣りたい”と言う。
早速朝から竿を出した。
オニカマス、アジ、QUEEN FISH を釣り、身のこなしが3年前の弘子に戻っていた。

 

1時間ほどの釣りを楽しんだ後、桟橋に戻り魚を捌いていると15kgぐらいのサイズでのクエが捨てる内臓を目当てに来ているのが見える。
餌付けをするように内臓を捨てると次々に食べる。
15kgのクエとなると大型の魚の頭も丸のみで食べる。
それもずっと食べ続ける。
豪快に食べるのを見ているのも面白い。
皆でその様子を一時見ていたが、弘子が“この魚を食べたい”と言い出した。
“では釣るか!”と大物釣り用の仕掛けを用意し餌をつけ水面下20cmほどの深さに下した。

 

クエは用心深い魚である。ラインを見せるとまず食ってこない。
だから水面下20cmの深さで待つのが良い。
何度も餌に鼻を近づけ離れる。
これを繰り返しなかなか食ってこない。
それを見て“用心深いですね”と弘子が言ったが、私は食ってくると思っていた。
餌の周りに小魚が集まり、餌をつつきだした。
クエも餌を横取りされるのではと気が気ではなくなった。

 

パクっ!

 

大きい餌を丸のみし桟橋の下に引き込んだ。
15㎏ともなると引きが強い。大きいタモ網を出し掬い上げた。

 

丸々と太い立派なクエが釣れた。
弘子も法美も大きさに驚いている。

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何枚も写真を撮り、そして鱗を剥ぎだした。
直後、

パチーンっ!

と良い音がした。

クエの尾で法美がビンタされたのである。
振り向くと右頬にクエの鱗がべっとりと付いている。
東京のお姉さんは弘子と2人で頬の鱗を取り除きながら笑い転げている。
法美もたくましくなったものである。

 

クエは美味しい!真空パックにして御主人への良い土産ができたと弘子が喜んだ。

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3年前の多忙の時は本当に一生懸命働いてくれた。
そして今回の里帰りに金曜島の神様が微笑んでくれたのだ。

 

高見

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